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2013-03-15

HOUSE VISION

先週末の上京の際、東京お台場の青海で開催中の「HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITION」を見てきました。

この企画、具体的な展示としては、住宅産業に関わる企業×建築家で考案した「家」が7種類、会場に展示してあります。
一見すると建築の展示のようでもあります。
しかしながらこの企画、実に壮大で多岐に渡る分野について、戦後社会システムの更新を促すくらいのことを標榜しています。
というのも、世の中が大きく変わるなかで、この企画では、そもそもである社会を構成する人々の「暮らし方」、全ての人間活動の起点である「家」に着目しています。
これから私たちはどのような暮らしをしたいか、どのような生活空間になるかを考える。
その際に、新たな生活を考えることは、そこに新たなプロダクトも生まれることにもつながります。
つまり、これからの暮らしを考えることで、そこに新たなものが必要になり、産業活性化の面でも大きな可能性が生まれることになります。
そのような面で、この企画は建築の分野だけではなく、もっと幅広い分野に関わる企画であります。
従って、この展示を見るにあたり、ただ単に特設会場に建てられた空間を見て、おもしろいとかおもしろくないとかを考えるのではなく、それぞれの提案から新たな住まい方、そこに必要な物等を想像する力、見る側の能力も求められる展示でもあります。

IMG_2328というような認識を持てたのは、展示を見終わり、見に行った7日に行われた建築家の内藤廣さんと原研哉さんのトークを聞いたからでした。
なので、自分が展示を見ている最中は、漠然と見て回った、というのが正直なところです。
また、そのトークを聞きながら、原さんの、今の日本の置かれた状況に対する強い危機感、でもどうにかしたいという想いがすごく伝わってくるようでもありました。
しかしながら、この企画は今日明日でどうにかなるものではない、時間をかけ、私たち自身も変わりながら内容も充実し、変化していくものだと思います。
この企画の今後の展開に期待しつつ、自分自身、今、そしてこらからの暮らし方を問い、変化していきたいと感じました。


以下、それぞれの展示を、写真付きでざっくりご紹介します。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA会場入り口付近。写真のように会場には1本の太い木製ブリッジを作り、そこから枝分かれするように7つの展示につながっています。
その大きなブリッジの淵に角材を組合わせた構造物を作ることで、ゆるやかに空間を作っています。
なお、このブリッッジに使われている木材は、展覧会終了後に福島県川内村に運ばれ、新たな橋や建築に生まれ変わるそうです。


OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA1 【住の先へ】 LIXIL×伊東豊雄
サブタイトルに「懐かしい未来の家を考える」とあるとおり、土間に囲炉裏付きのキッチンテーブルがあり、自然を身近に感じながら食を楽しむ。
縁台もあれば開放感のある風呂もあり、そして個のスペースとしては籠れる蔵で静かに過ごすこともできる。
ほんの少し未来の具体的な住を感じさせるような展示。


2 【移動とエネルギーの家】 Honda×藤本壮介
おそらく7組中一番面白い組み合わせ。
自動車のHondaが何で?と思いつつも、考えてみれば二足歩行のasimoやHonda Jetのような飛行機のような夢のあるものから、発電機のenepo、農業用の耕うん機なんかも作る会社でもあります。
House Visionでは、ホンダスマートホームシステム(HSHS)という、家のなかでエネルギーをシームレスに循環させるシステムを提案しつつ、住に関わる様々な段階での移動ツールの提案を行っています。
大きく5つの段階があり、近距離から順に、階段や坂道のサポートをする体重指示型歩行アシスト機(真ん中右)、室内移動を補助する「UNI-CUB」(左2点)、徒歩県内の移動を補助する「TOWN WALKER」、街中でのコンパクトな移動を補助する「MOTOR COMPO」(右)、近郊への移動を補助する「MICRO COMMUTER CONCEPT」。
「UNI-CUB」は新しい移動体のよう。
セグウェイは両手が塞がるのに対し、こちらは座ったままの体重移動で動くようで、両手が塞がることはありません。
デモンストレーションの様子は、オフィスチェアーが思い通りに移動するような感じでした。
特に、団塊世代がどんどん年を重ねていくこれからの時代、「UNI-CUB」のような室内移動を補助するということは、リアルに必要になってきますし、そのときの生活空間は当然変わること、そこに新たな市場が生まれ得る可能性が大きいとも言えます。
こういったことは、トークを聞くことでなるほど、と思いましたが、そのような話しが無ければ想像するのは少し難しいと思います。

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OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA3 【地域社会圏】 未来生活研究会×山本理顕、末光弘和、仲 俊治
唯一の集合住宅の提案。
サブタイトルに「シェアリング・コミュニティ」とあるように、地域に住む人々との「共有」の豊かさが感じられるような住まい。
外部に開かれた「見世」と、固有スペースとしての「寝間」を1ユニット単位で賃貸。
「見世」を多く借りればお店や事務所に利用出来るし、「寝間」を多く借りればプライバシーの高い家になるというもの。
働き方にも直結するような住のあり方。

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4 【数寄の家】 住友林業×杉本博司
日本の伝統や美を重視した空間で、中古マンションにも適用できる「数寄の家」(真ん中)と利休の「待庵」を本歌とする茶室「雨聴天」(右)。
どちらもシンプルながら、その素材のひとつひとつ、つくりのひとつひとつにこだわりがある。
だからと言って高級なものだけを使っているわけでもなく、他とえば生垣(左)はほうきを並べたもの、「雨聴天」の屋根はトタン板だったりと、素材を見立ててもいる。

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5 【家具の家】 無印良品×坂 茂
無印良品の家具、収納用品は、徹底してモジュール化されて作られています。
その特徴を活かして収納家具そのものを建築を支える柱と捉え、空間も資材も無駄無く家に仕立てて行くという合理性に立脚して作られた家。
現場で空間を見るといまいちピンときませんが、柱も壁も無く、写真に写っている収納家具そのものが全て床から天井まであり、それがそのまま構造体でもあると考えると、いかに合理的かがわかります。

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6 【極上の間】 TOTO・YKK AP×成瀬友梨・猪熊純
トイレ、洗面台からなるレストルームの新たな提案。
正直なところ、一番ピンとこなかったかもしれません。
ただ、極上のトイレは憧れるので、実際体験してみたいと思いました。

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7 【編集の家】 蔦屋書店×東京R不動産
蔦屋書店と東京R不動産という組み合わせ、実際の空間がわかりやすいと思った展示。
リアリティがありました。いいなぁと思わせる訴求力がありました。
空間の視覚的な見た目で良いと思いそうですが、この提案空間も面白く、上段左の写真ではキッチンと机が掛け合わされています。
料理を食べたり、宿題をしたり、珈琲を飲んだりということを、一つの大テーブルで行う。
こういうものが家にあるのも面白そうです。
また、ベッドは押し入れと(上段真ん中)、リビングはバスルームと掛け合わされています(下段左2点目)。
浴槽に入りながらテレビを見てくつろぐことを想定しているのか、リビングのソファーのように、浴槽が夫婦用にふたつあります。
トイレは書斎も兼ねていて(下段左)、理想的な空間になっています。
この浴槽の照明は目を引きました(下段右2点目)
また、東京R不動産のパーツも展示していました。(下段右)

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