出雲崎
黒人初の演歌歌手、ジェロのデビュー曲「海雪」の舞台を見に、新潟県三島郡出雲崎町に行ってきました。
というのはウソで、目的は別にありました。
それはさておき、その出雲崎の町について少々。
日本海に面したこの町は、長岡から車で1時間弱の距離、南方には柏崎があります。
格別、観光雑誌に掲載されるような街の資源は少ないと思います。
人口も6千人弱で、高齢化、過疎化が進む町でもあります。
しかしながら実際行ってみると、観光地としての魅力ではなく、どこか懐かしい、落ち着くような魅力を持っていると感じました。
その魅力のひとつには、海と町との関係があるのかもしれません。
海が陸地に近いため、海岸のすぐそばを道路が走っています。
そして、その道路沿いに古い建物が建ち並びます。
その建物は、古いけれど、すごく古いわけでもなく、豪邸でもなく、ごくごく普通の民家です。
その建物は海側が裏側で、建物表側の街並みは、懐かしさを感じる落ち着きを持っています。
また、街の中に自販機が少ないのも、良いのだと思います。
そして、建物のすぐ先は小高い山になっています。
地理的条件も、すごく恵まれています。
そして、街に沢山のお寺があることも、特徴のひとつだと思います。
本当に沢山あります。
10軒に一カ所くらいでしょうか。
歩いていると、家と家の間に小道があり、小高い山側にあるお寺へと続いていました。
僕は、東北の太平洋側で生まれたので、北陸、日本海側のことはあまりわかりません。
でも、この土地を歩き、昔から大陸側と交流があったことが三陸の海と決定的に違い、海の街の歴史の深さと、文化が息づいているように感じました。
観光地としての資源のある街と、出雲崎町のような、格別な観光資源ではなく、どこか心が落ち着くような町の資源は別だと思います。
そのような魅力を持った街は、出雲崎町のほかにも全国にたくさんあると思います。
そして、もしかしたら同様に、高齢化、過疎化の道をたどっているかもしれません。
だからこそ、そういった町と都市との関係をもう一度考え、双方がそれぞれのあり方で、これからも共存、共栄していくことを考える必要があると思いました。
無理せず、出来ることから出来る範囲で協力し合いながら、行動しながら共に考える。
そういう活動が必要なのかもしれません。
観光地化されていない土地の、観光地化されずに愛され続けるまちづくりのあり方。
そこにこそ、デザインやクリエイティビティは大いに必要だと思います。
今回の旅を通し、都市と地方の新たな関係についての視点を学べたように思いました。
出雲崎町は、江戸時代に曹洞宗の僧侶として庶民に仏法を説いた良寛出生の地。
写真の建物は、良寛の生誕地。
建物後ろは日本海。
すごく恵まれたロケーションです。
その建物の裏側には良寛の像があり、日本海を臨んでいます。
何を思い、海を眺めているのでしょう。
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