Making of Ex-formation
先月発売された、原研哉ゼミの本「Ex‐formation四万十川」の発売を記念したトークショーに行ってきました。
この本は、2004年度の原研哉さんのゼミの学生が行った研究の成果を、原研哉さんの監修のもとまとめたものだそうです。
トークショーは2時間で、はじめの1時間は、原さんがこのテーマをやるきっかけなどを、残りの1時間を、実際ゼミで研究を行った原研哉ゼミの元学生が、自身のデザインについて語るという内容でした。
原さんは3年前から武蔵美で教授をしています。
昨年度からは、研究の大テーマをEx-formation、その年のテーマをOpen Museumとしました。
原さんは、「HAPTIC」や「RE DESIGN」などの活動からもわかる通り、現代の「情報」について対して大きな疑問を持っています。
世界中の多くの情報をだれでも容易に知ることができるようになったけれど、その結果、芝刈りで刈られた後の草のように、浅はかな情報であふれている。
情報過多で、人々は多くのことを知った気になり、情報を受けたらそこで思考が止まってしまっている。
本当に大事なのは、情報を受けた時に「いかにそのことについて自分が知らなかったか」に気づくことである。
そして、それをきっかけに、そのことについてもっと興味を持ち、知ることである。
それが、In-fomationに対してのEx-formationにつながった(たぶん)ようです。
昨年度のOpen Museumのテーマは、自信がMuseum好きだったからだそうです。
しかし、現代のMuseumや世界遺産のような場所のあり方が、現代には合っていないと疑問を抱いていました。
Museumは世界中のものを、ある一カ所に集めて見ることに意味があったが、今ではアクセスが容易になったので、実際に現地に行ってみた方がいい。
その時に必要なことは、そのアクセスの仕方を示すこと。
そして、世界遺産にしても、制限を持ちつつも人が入れるようにすることが大事だと説きます。
たまたまテレビで見た四万十川のドキュメントがきっかけで、場所を四万十川にしたそうです。
今回のトークショーでおもしろかったのは、原研哉という人のお話ではなく、武蔵美の原先生からお話を聞けたということです。
以前も原研哉さんのトークショーを聞いたことがありますが、その時とは表情やトークのノリが違ってました。
自分の元ゼミのメンバーという仲間と一緒だったともあると思います。
すごい楽しそうで、普段見られない表情をかいま見れました。
「デザインは人の頭を使って考えろ」ということをトークのはじめに話しましたが、学生が自分のデザインしたものについて説明した時に新しい視点を発見すると、『「人の頭を使って考える」というのはこういうことです。』と言って会場を笑わせたり。
また、「そうだな」と共感したことがあります。
それは、この研究成果の中には、実際調査をしている段階では徒労と思えるようなことをしているものもいくつかあります。
しかし、美大の学生には徒労と思えることも、それをそうとは思わずに最後までやり遂げる馬鹿力があったおかげで、おもしろいことが最後までできたと言います。
美大以外だったら「おもしろい」とは言ってくれるけどやらない。
これは、確かにそうだと思いました。
少なくとも、自分の出身校ではこの話は通らないでしょう。
この本は原さんが書いたわけでもないし、本のグラフィックもデザインしてはいません。
監修しているだけで、やったのは彼のゼミの学生です。
でも、この本でおもしろいのは、彼の元で彼の考え方を学んだ学生が、どのように自分の中に消化してデザインへと発展させたか、それを見れることだと思います。
こう書いては失礼かもしれませんが、学生たちは、実際やってる時に彼の考えをしっかりと理解していなかったかもしれません。
悩みながら調査をし、デザインをしたに違いありません。
しかし、結果的にできあがったものは、彼の考えをちゃんと消化しているし、さらに各自が独自の視点を盛り込んでおもしろい提案を行っているいます。
このトークを聞き、僕は主にまち作りや観光、自然保護に関わる人にこの本を読んでほしいと思いました。
いかにそのことについて知らなかったことを知るか、その視点を学び、真似てほしい。
そして、どれだけおもしろい視点を発見できたかを、お互いが学び合いながらよりいいものに仕上げていければいいな、と思います。
楽しみにしとります。
先日、銀座の日産本社ギャラリーで、深夜番組の「New Design Paradise」の展覧会に行ってきました。
相当の人ごみでした。
面白さも、質の高さも作品ごとに相当差があるけど、結構面白い。
一般の人が、デザインに興味を持っていて、デザインを語ってる様子が面白かった。
しかし、20日までなのさ、この展覧会。
時間ないけど、行く価値はあると思うよー。