リゾート運営の達人
八戸の大学が開校予定の起業家養成講座プレセミナーに参加し、星野リゾート社長の星野佳路さんのお話しを聞いてきました。
今回のセミナーでのテーマは、「日本製リゾートの挑戦」。
ご自身の専門であるリゾート再生のお話しが中心でしたが、とても興味深いお話しでした。
まず最初に印象に残ったのは、プレゼンの組み立て方でした。
日本全国で講演をされる機会があるので、慣れていらっしゃるのかもしれませんが、リゾート地としての軽井沢の歴史やリゾート業界の流れとご自身の会社の歴史と、自分とまわりとの関連の中で説明をされていたので、とてもわかりやすかったです。
面白かったのは、旅行のポイントとして「知名度」「アクセス」「治安」の3点が重要とされ、日本は全て満たしているのにも関わらず、世界の中では海外からの観光客は30位前後。
観光赤字なのだそう。
過去10年で観光産業も変化してきており、日本の旅館は海外視察も行っているのに、ある時期から世界のスタンダードを取り入れる努力をしなくなり、海外との競争意識がなくなり、顧客満足度はかなり低く甘んじている。
しかし、サービス産業でも効率と顧客満足は両立できると言います。
星のやでは働き方にあった施設にするとともに、利益や満足度を数値化して、それを実践しているのだそう。
また、時代が変わればニーズも変わり、それに対応できず単価を下げる傾向があるが、それも適正価格を維持する方法を見出し、実践しています。
さらに話しは続きます。
フランスでは2月に小学校が地区毎に時期をずらして休みをもうけていることを例に出し、旅行業界では繁閑の差があり、混んでる時はどこも混んでいるけれど、空いている時はどこも空いているので、例えばGWを県でずらしてみては、と提案します。
また、高い交通費も問題で、日本の地方空港では特に、国際空港であることに固執する傾向があるが、少ない需要で便も少なくなって悪循環に陥るので、国際便を成田や羽田などのハブ空港に任せ、地元の空港とLCC(格安航空会社)を結ぶことのメリットを主張します。
お話しはリゾート再生や旅行業界からのものでありましたが、サービス産業を中心とした社会のあり方を考えさせられるようなものであったと思いました。
ものが有り余っている今日、サービス産業は益々重要になってきます。
効率化を最優先した20世紀の社会に対し、21世紀は心の時代。
旅館従事者共通の喜びは「お客様に喜んでもらいたい」。
これまではルールに縛られてできなかったことが多いけれど、それを自由にすることで各人が自分で考えて、活き活きと仕事に取り組むことができると言います。
マニュアルで管理する時代から、会社のミッションを共有し、各人がクリエイティブに考えて行動する時代。
星野さんの社長メッセージは「日本の観光をやばくする」。
確かにやばかったです。
星野リゾートでは、青森県で2つの旅館を再生中。
十和田湖から流れる奥入瀬渓流。そのそばに建つ奥入瀬渓流ホテル。自然を満喫できるホテルです。
寺山修司の生まれ故郷 三沢市にある「古牧温泉 青森屋」は、岡本太郎の作品があることでも有名。
青森県の夏祭り、三社大祭の山車(八戸市)、ねぶた(青森市)、ねぷた(弘前市)が展示されている「みちのく祭りや」も気になります。
特に青森県では、知名度はあるのに魅力が十分に伝えられていないと思います。
青森県では、津軽と南部という昔の藩政時代の対立があり、今でも特に年配の方にはその意識が強く、結果身内内で争うことでお互いの魅力を引き出せずにいるように感じます。
世界を視野に日本中を移動して仕事をされている方が再生した青森の旅館。
だからこそ、この仕事を参考にしながら、「県外の方が青森に何を期待しているか」を考えて、新しい青森県を発信していかなければいけないと思いました。
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