1/11-2 犬島アートプロジェクト「精錬所」
江戸時代より主要な輸出品であった銅。
この銅の精錬では、製造過程で煙が発生すること、また船の交通の利便性があったこと、さらに疫病が発生した時の優位性から、瀬戸内海の島々に精錬所が建設されました。
犬島にも20世紀はじめ精錬所が建設されましたが、銅価格の暴落によりわずか10年たらずで閉鎖。
ほとんど使われることなく、現在まで施設は残っていました。
この精錬所は、2007年に度経済産業省による「近代化産業遺産群story30」に認定。
犬島アートプロジェクトでは、今後犬島全体でアートプロジェクトを展開する予定で、その第一弾として「精錬所」が2008年4月にオープン。
完全予約制のガイドツアーとして見学することができます。
この施設を見学し、実際行って、見て、ガイドさんの説明を聞かなければ、心で感じることができない施設だと思いました。
それは、ただのアートスポットではないから。
ガイドさんによると、遺産・建築・環境・現代アートの組み合わせという表現をしているのだけれど、近代産業遺産にその良さを引き立てるように現代アートを織り交ぜて見せることで、見る人に「考えさせる施設」であるからです。
当時は、本州よりも瀬戸内海の島に都合良くこのような施設を作ったのだと思います。
それにより、最盛期は5000人くらいでしょうか、島は繁栄したのだそうです。
それがたった10年足らずで施設が閉鎖。
現在の人口は60人程度。
そして現在、当時の施設が産業遺産として残り、そこに新たな命を吹き込むことで注目されている。
また、施設内のカフェでも島の人と思しき方が、おしゃれなユニフォームを着て楽しそうに働いている。
柳幸典氏のアートワークも、三島由紀夫の作品をモチーフに製作したもの。
当時、日本の進むべき道について熱く想いをめぐらしていた人を組み合わせることで、これからの日本について考えてもらいたいという、計画者の想いも感じます。
三分一博志氏の建築、柳幸典氏のアートワーク、ともに、この精錬所跡の良さを引き立てていて、とても素晴らしかったです。
ツアーは約1時間。
「精錬所」の写真はNGですが、遺産部分の撮影はOKです。
見学後は受付内で犬島名物の「まつり寿司」をいただき、次の見学地直島に直通便で行きました。
■リンク:近代化産業遺産群33
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