起雲閣
起雲閣は大正8年に別荘として建てられ、1947年からは旅館として使われていました。
2000年からは熱海市所有の観光施設として公開されています。
門をくぐり、邸宅に入ります。
入ってすぐにあるのは、麒麟という名の建物。
鮮やかな青色の壁の和室は、とてもアヴァンギャルドです。
でも、なぜか落ち着きます。
なぜでしょう。
建物は、中庭を囲むように建てられています。
この建物が出来た時は、周囲に高い建物は無く、麒麟の2階からは相模湾が見えたそうです。
残念ながら、現在は海の方向にマンションが建ってしまっていますが、将来的には周辺の景観の整備もして、再び2階から相模湾が見えるようになって欲しいと思いました。
ステンドグラスが美しい、玉姫という名の部屋。
日本家屋の本館を中心に、和、洋、中が融合したこの施設。
すごいセンスでドラマチックです。
この旅館は、山本有三、志賀直哉、谷崎潤一郎、太宰治、舟橋聖一、武田泰淳など、多くの文豪にも愛されました。
客室、客室からの景色を見ながら、宿泊施設時代の起雲閣に思いをはせます。
赤い壁の客室もあります。
こちらも、視覚的にうるさくない。
赤ゆえに、熱いカップルにうけそうです。愛に溢れた部屋、でしょうか。
浴室は、ローマ風浴室と、染殿の湯があります。
後者は、驚いたのが窓からの景色。
外から浴室が見えないように考えられています。
さすが一流だと思いました。(こんなところで思うことでもないですが)
この建物を回っていて面白いと思ったのは、廊下です。
結構内装は普通の旅館なんですが、でも違う。
なぜか考えてみると、ただの直線の通路がほとんど無い。
角々していて、変化があるんです。
「先に何があるんだろう」というドキドキ感、ワクワク感があります。
建物は、市街地の中にあり驚きました。
こんなに道路と面しているのに、壁一枚隔てた先に、こんな豊かな空間が広がっているとは思いませんでした。
帰る時には日も暮れかかっていました。
そのおかげで、夜の熱海のバス停を見ることができました。
さすが観光地です。
照明がついているだけではなく、足下のブロックも青白く「H」の文字に光っていました。
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