21世紀の新しい創造
先日法政大学で行われた公開特別講義「 takram:デザインエンジニアリングのフロンティアを語る」、このなかで僕が一番印象に残ったのは、2020年のビジョンについてです。
例えばレアメタルの問題があり、将来的にはものは今よりも作らない(作れない)抑制型の社会に移行するだろうと言います。
そうなったとしても、人間はものをつくる動物であるから、何かしら考える。
1996年から2008年までの変化では、インターネットが定着したくらいなので、2020年には、今いろいろ世間で言われていることが影響を与え、当然の状態になっているだろうと言います。
また、プロジェクトを進めるときに、彼らはプロトタイプを沢山作るそうです。
これは、従来イメージを相手に伝えるためにスケッチを描いていたのと同様の目的。
今は複雑で最初から正解が見えていないケースが多く、また様々な職種の人が関わるなか、それぞれの専門用語で議論すると進まないけれど、「体験」で話したり、プロトタイプを見ながら話すとみんなわかるのだとか。
ほかにも、iTunesやWii、Amazonのブックリーダー(Amazon Kindle)を出しながら、サービスの道具性についてのお話も興味深いものでした。
その日は、この講義を聞いた友人とデザイナーをされている先輩と3人で飲みながらお話をしました。
この講義の話題、特に「作らない」「ラピッドプロトタイピング」が話しの中心でした。
全く作らないというのも違うだろうし、究極的には個人個人にあったプロダクト?
そう考えると、印刷が家でプリンタから出力できるようになったように、なんらかの方法で、個人の特性に合ったものを作れるかもしれない、とか。
また、先日テレビ東京のワールドビジネスサテライトで、原油高の高騰で物流に変化が起きている話題が放送されました。
もしかしたら、小さいところで言うと、100円ショップはこれから減るかもしれないですね。
農作物と同様、ものも国内で作り国内で消費する。
すると、産業構造自体が変化して、サービスやアイデアのようなものに、もっと価値が払わなければならなくなるわけですね。
なかなかまだ実感無いです。
また、ネットワークやソフトウエアというのはこれから益々重要になるという話しもありました。
情報過多と言われ久しいわけですが、やっぱり情報の量よりも読み解き方、質的なところが重要だと再認識され始めていると思います。
ただ、パソコンの画面にある文章は、書く側も紙媒体のものとは意識が異なるでしょうし、見る側の「読む体験」も、まだ機械的な文字を読んでいる感じだと思います。
紙の重要性が再認識され、印刷や文字とかについて特集を組む本が増えましたが、Webでのタイポグラフィや「読む」体験のデザインについて、もっとデザインされなければいけないと思いました。
経済的豊かさが絶対的価値を持っていた20世紀とは違い、21世紀は心の豊かさが価値を持つ時代です。
ただ、その中でも経済は必要です。
この講義では、そのあり方についての方向性や考えるヒントが沢山得られたように思います。
その変化をいかに好意的にとらえ、ポジティブに変えていくかが大事だと思いました。
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