shang-hai story 05 3/3-1

朝の身支度を調えると、僕はフロントに行った。
そして、昨日と同様こう言った。
I want to call…


そして、電子辞書の日中辞典で日本領事館を引いて、その画面を見せた。
従業員はすぐに理解し、電話をかけた。
私は職員に事情を説明すると、特に悩むようでもなく、次のような事を言った。
こういうぼったくり事件はけっこうあるが、領収書などの証拠がないことや、実際殴られたというような被害を受けていないことから、地元の警察は腰が重いと予測できる。
また、ひどい場合は15万円くらい支払うケースもある。
今回はカードもとられていない上、たった2万円くらいで済んだので、しょうがなかったといとらえた方がいいのではないか。
ということであった。
今回は条件が悪かったので諦めつつも、念のため警察に行くことにした。
電話を切り、今度はホテルの人に南京東路を管轄とする警察署はどこか聞いた。
僕は言われた場所に向かって歩いた。
南京東路派出所 南京路貴州路12
警察に行き、お互い片言の英語で事情を説明した。
そして、職員に連れられるまま護送車に乗せられた。
車は南京東路の裏通りをどんどん東へ進み、辺鄙なところで降ろされた。
彼女は指さしながら言った。
Go Ahead.
見ると、路地の入り口の門に
上海市公安局黄浦分曲外灘派出所
と書いた木の板があった。
彼女たちは車に乗り、去っていった。
僕はその路地を進み、10メートルくらい先の右手に派出所があった。
中にまた片言の英語で一から事情を説明した。
Wait a minute.
僕は壁際に置かれている椅子に座り、待つことにした。
時間は12時をまわっている。
30分ぐらい待っただろうか、男性と女性の警官が奥から出てきて一緒に行こう、ということを言った。
僕は彼らとともに南京東路を歩き、その事件のあった店に行った。
そして、僕はここだと言った。
彼らはそこらにいたおじさんに話しかけ、何か聞いている。
たぶんここにカラオケ屋があるか、と聞いているのだろう。
しかし、無い、と答えたようだ。
そんなことを僕に説明した。
そして、
Where?
と女性警官は聞いた。
僕は近くをいろいろ歩き、記憶を必死にたどった。
しかし、事件の直前たくさん乾杯をしてアルコールを飲まされていたこと、頭がパニック状態だったことからその時の記憶が曖昧で、詳しく思い出せない。
本当に思い出せなかった。
そして、そのことを警官に伝えようと必死に電子辞書をひいて言ったが、伝わらなかったようだ。
あきらめた警官は、
This afternoon take photo and come.
確かそんなことを言い、彼らは去っていった。
そして僕は一人呆然と立ちつくした。
南京東路で一人残された僕は、裏通りの沙市二路に向かった。
ここでは豫園商場で買えるのと同様のものを購入できる。
欲しいものが無いか物色していると、昨日豫園商場で会った、昔旭硝子で働いていたという上海人に遭遇した。
あ、どうも。
南に向かいながら歩き話をした。
今朝のことをいろいろ話してみる。
昨日は結構愛想良かったのに、今日は少し冷たい。
結局彼は今回の件では僕にも大きな責任があるなどと言い、僕の人の良さに少しうんざりさえしていた。
そして、私は豫園商場に行って今日も日本人の相手をするから、と去っていった。
彼は何者なのだ。
いったい何が目的で、どうやって生計を立てているのだろう。
きっと明日も、明後日も彼は上海の観光地で日本人に話しかけているのだろう。