ユネスコ無形文化遺産登録記念誌のデザイン

八戸三社大祭の山車行事ユネスコ無形文化遺産登録記念誌 山・鉾・屋台行事と八戸三社大祭(編集・発行:八戸三社大祭の山車行事ユネスコ無形文化遺産登録記念事業実行委員会)のデザインをさせていただきました。
この記念誌は、平成29年2月5日に行われた、八戸三社大祭の山車行事ユネスコ無形文化遺産登録記念祝賀会に出席された方に配られました。




記念誌は、A4版で全編4色の、52ページです。
ユネスコ無形文化遺産についての概要、今回登録された山・鉾・屋台行事について、そして、その中の八戸三社大祭の概要や特徴についての説明からはじまります。
そして、三社大祭の特徴でもある山車を毎年作り変えること、お囃子の練習が地域の結束や持続的なコミュニティの維持にもつながっていることなどを伝えています。
さらに後半では、山車組に加え、神楽や虎舞等の民俗芸能団体の来歴や特徴、全山車組の木遣り音頭等を子細にまとめています。


三社大祭にまつわる書籍は過去にもいろいろありますが、このような、今の情報を網羅した冊子は、これまでになかったと思います。
貴重な記念誌の制作に携わらせていただき、とても嬉しく思っております。


今回のお仕事のお話しは、私の認識としては、平(ひら)のメンバーですが、私自身も山車組に関わっていることがあると思います。
生まれたところが偶然山車組のある町内で、子どもの頃からかたって(方言:参加して)いて、Uターンしてからも、今でも関わらせていただいています。
またその山車組は、平成26年に参加100周年であったことから、その記念誌の編集とデザインをさせていただきました。
山車組の多くは、町内をベースにしています。
その町内ベースの組は、昔はその地域の人が支え、自分達の地域の組に参加していました。
しかし時代とともに変化し、山車組の無い地域から、縁あって山車製作等にも関わってくださる方がいないと、もはや成り立たない。
そうは言いつつも、「地域」はそれでも大事で、組の重要な役職等は町内の人が今でも担うことになっている。
町内ベースの山車組は、そういうところが大半だと思います。
私も町内に住み、今も山車組に関わる人という、何かプレッシャーのようなものを年を追うごとに強く感じてきています。
お祭りをどのように維持し、後世に伝えていくかという課題は多く、私も自分が関わる組でも将来が考えにくいのが正直なところです。
話しがズレてきましたね。戻します。
いずれにしても、私のような、山車組のある地域に住み、子どもの頃からUターンした今でも関わる人間で、デザインも行う。
そういう人間はレアだということで、今回お話しをいただいたのだと思っています。


今回の記念誌のデザインは、変に「デザイン」せず、情報をわかりやすく見せることを重視しました。
冊子のデザインは、ともすると、過剰に装飾を加えたり、加工を加えたものになりがちです。
三社大祭の山車も豪華絢爛であることから、その雰囲気を紙面に表現することも考えました。
ただ、このお祭りは、山車だけではなく、神社行列に様々な練り物が出ており、私自身は八戸の総合文化祭的要素に満ちたものだと思っています。
山車そのものにも、多くの要素が凝縮されています。
そのような、写真や素材を使っただけでも情報過多なお祭り。
紙面にもお祭りの雑多感を表現すると、うるさすぎると感じました。
また、このお祭りは要素が多いため、どの場面の写真や素材を使うかでお祭りの印象は異なります。
使う素材に「意味」が生じるのです。
変に意味を生じさせないためにも紙面はシンプルに、そして多くの情報が見やすくなるようにフォーマットを考えました。
なお、本文の紙は、三菱製紙八戸工場で作られ、竹尾から出ている高級紙「MTA+ -FS」を使っています。
地元にある工場で品質の良い紙が作られているので、積極的に今後も使っていきたいです。

表紙のデザインも同様に、変に意味が生じないよう、写真やイラストは使わず、文字だけを配置しました。
ただ今回は、予算の都合上表紙は4色で刷り、マットPP加工を施すものでした。
出来ることが限られたなかで、いかにユネスコ登録がありがたいものかを伝えるために考えたのが、この表紙です。
三社大祭のイメージとは真逆の、シンプルで神々しいイメージです。
4色で表現する黄金色から白へのグラデーションの地色に、タイトル文字を大きく両サイドに背景に刻むように表現し、少し小さめにタイトル文字を中央に配置しました。
そのタイトル文字の背景には、300年の伝統を表現するような、ぼかしを入れた白い地色を敷いています。
タイトル文字の色は、背景と同系の茶色も合いますが、お祭りが沈んだ印象になります。
現在の三社大祭は、毎年山車を作り変え、仕掛けも変化し、色彩も多彩な、彩り豊かなお祭りです。
黄金色の地色に対し、渋味のある青い文字にタイトルの正式名を赤にすることで、動的で若々しいイメージを出しました。
このデザインは自分一人で考えたわけではなく、最初の案をベースに、担当者の方々の意見を盛り込みながら、作り込みました。

この冊子に納められている情報は、去年のお祭りの時に、担当者の方々が手分けをしながら一生懸命取材されていたのを見ておりました。
その膨大な調査の情報を、より伝わる紙面にしたいと思い、制作させていただきました。
携わらせていただき、本当にありがとうございました。


平成22年に、当時臨時職員として勤めていた職場で、公式ガイドブックの制作にも携わらせていただき、そして平成26年には参加する山車組の記念誌、そして今回のユネスコ登録記念誌。
三社大祭の冊子制作に多く関わらせていただいていることを、本当に嬉しく思っています。
今後も、機会があればお祭りの冊子の編集・デザイン業にも関わらせていただければと思っています。
また、これからの時代を見据えたあり方についても、観光だけではない、地域とともにある、まちづくりの視点からもお祭りを考えていけたら、そう思っています。


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