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2008-02-10

NIPPON VISION

NIPPONVISION
三連休初日の昨日は、まずはD & Department StoreにてNIPPON VISION展を見てきました。


買い手不透明のお祭り的な伝統的工芸品ブーム。
ものはどんどんデザインするけれど、その状況まではデザインされていない。
このプロジェクトは、そういう現状に対するアンチテーゼとして行われています。
「新しいデザイン」をする前に、長い歴史を積み上げてきた中で、ホコリをかぶって見えなくなってしまった企業のDNAを見直し、もう一度光り輝かせる。
新しくものをつくるのではなく、状況を把握し、情報を整理してわかりやすくする。
このやり方は、昨今たくさんの良いお仕事をされているグラフィックデザイナー出身の方に多い、アートディレクションの仕事に近いと思います。
展覧会では、47都道府県全ての県から良質なものが選定され、販売されています。
これは、とてもすごいことだと思います。
もちろん、全ての県で十分に把握し切れているとは言い切れないと思います。
でも、D & Departmentとして、そしてナガオカさんがご自身の足で全国各地を回ったこの努力は、とても素晴らしいと思いました。
現代の伊能忠敬、という表現は適切かどうかはわかりませんが、なぜかそんなことを考えてしまいます。
会場に並ぶ各地の工芸品は、どれもすばらしいものばかりです。
最近よく目にするような、いかにも「デザインしました」というものとは違います。
生活に根ざし、長い時間の中で考え、作られてきたもの。
伝統と技術に裏打ちされた、良質なふつうのものばかりです。
こういうものがあるというだけでも、嬉しくなります。
ふつうだけど、なんか良い。そして、身近なところでふつうに売っている。
お祭り的に作ることも時には必要かもしれません。
特別な、スペシャルなものも、あっていいと思います。
けれど、そういうものと同時に、「ふつう」のものをより上質にすることも重要だと思います。
この展覧会の後で東京ミッドタウン無いのWISE・WISE toolsを見ましたが、こちらにも良い日本のものが扱われています。
こうやって見て感じるのは、やっぱり日本国内にも良い物はたくさんあることがわかります。
でもそれらが埋もれてしまっているので、今の状況を整理することが、新しい未来を想像する第一歩となり得るような気がします。
本当に必要なものは何か、本当に豊かな生活は何か。
急激に高度経済成長を経て成熟社会になったがために、自分自身のことを見失っている、というのが現状なのかもしれません。
D & Departmentのお店は、僕個人的には少しこれまでは少しどことなく冷たさを感じていました。
でも、この展示をしている店内は、やさしい感じがしました。
今後も、継続的に店舗で販売されるといいと思いました。

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